鹿原こるり十五歳 - 『英雄×勇者×救世主(AUQ)』ファンサイト -

ハーブローク第10回リアクション結果

第10回リアクション エリア:ハーブローク3
『正邪』第三部 悠久編
担当:榊 大悟

Scene.2 得られしもの より引用

 痛む足で何とか立ち上がる。
 次が来れば全て終わりだ。
 ゼノクロノスに対峙するエマ・スプラウトは考えた。
(せめて次に現れる場所が分かれば)
 満身創痍の英雄達を見渡す。
 そして気付いた。
 ある。
 その、方法が。
こるりさん……っ!」
 エマは鹿原こるりに呼び掛けた。
「そうか……!」
 こるりも気がついた。
 自分が手にしているのは最悪の未来を予知するペン。
 だが。
 今は最悪の未来でいい。
 こるりは自分の掌にペンを走らせた。
「千晶さん、信一さん」
 こるりはライフル銃を持つ獅堂千晶と信一に呼び掛けた。
「ゼノクロノスが最初に狙うのは…………です」
 残酷だが、今はその方法しかない。
「分かった」
 千晶は頷いた。
「外さない。絶対」
「ジゼルさん」
 エマは傍らのジゼルに囁きかけた。
「今から一度だけ、ゼノクロノスに攻撃出来る機会を作ります」
「何?」
「仕留めて、下さい」
 魔族の回復力は、驚異だ。
 それを仕留められるとしたら、ジゼルの持つ剣しかない。
「やってみよう。いや、必ず仕留める」
「フィオフィも、やるよ」
 フィオフィ・フォウが足の痛みを堪えて笑った。
「ヒトはつよいの。フィオフィは信じてる。みんなを」
 言って、ゼノクロノスの前に立ち塞がった。
「そうだよ。ヒトはつよいの。サピエンティアなんかにもまけなかった」
 最後の力でプログ・エボルシオン。
 眩い光がフィオフィの背後から発せられる。
「愚かな。邪なるものこそ自由。正義など束縛。だから、今も正義など存在しない」
「ちがうよ」
 フィオフィは言った。
「ただしいから得られるもの、あるよ。それは仲間。それは信頼。魔族はたった一人だもの。失っていくだけだもの」
「貴様……」
 ゼノクロノスは憎々しげな表情でフィオフィを見つめた。
「分かったような口を」
 ゼノクロノスが消える。
「千晶さん!」
 こるりが叫んだ。
「フィオフィさんです!」
 千晶は、信一と共にサイレンサーを付けたライフルを構えた。
 狙いを定める。
 確かにゼノクロノスは現れた。
「ああっ!」
 フィオフィの肩にゼノクロノスの剣が突き刺さる。
 狙うは、ゼノクロノスの目。
 魔族の嗅覚も不安であったが、黒色火薬の臭いが今も漂っている。
(ごめん、フィオフィ)
 千晶は、引き金を引いた。
 フィオフィにを気をとられていたゼノクロノスの両目を、千晶と、信一の銃弾が貫く。
「うあっ!」
 自分の出現位置が知られるとも考えてはいなかった。
 ゼノクロノスは両目を押さえてのけぞった。
 ここで時を操られてはいけない。
 エマはゼノクロノスに背後から掴みかかった。
「ジゼルさん、今です!」
「……唄いなさい、クレール・ド・リュンヌ。お前の歌を。そして彼の者に永久の安らぎを」
 もう一度、かつての力を。
 大切なものを護る為に。
 応えてくれ。二振りの刃よ。
「これが仲間のいる我々の力だ。その身で思い知るがいい。剣聖剣技……『月光小夜曲』ッ!」
 長剣『クレール・ド・リュンヌ』、小剣『シャ・ノワール』。
 その刀身が砕けて光の刃が現れる。
 『月の王』が宿ると言われる、伝説中の伝説の剣。
 さらに、ジゼルの背には四枚の翼まで現れている。
「あああああああああっ!」
 その力はゼノクロノスを両断、いや、傷口から放たれる光に掻き消されるように消滅していく。
「終わりです」
 こるりが呟いた。
「貴方には、もう『最悪の未来』も見えない」
「何故だぁ……ッ」
 最後の力でゼノクロノスが吼える。
「高貴なる我らが、人間ごときに敗れるなどッ!」
 誰も答えなかった。
 何故なら。
 それが分からぬ事が、彼の最大の敗因なのだから。


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