鹿原こるり十五歳 - 『英雄×勇者×救世主(AUQ)』ファンサイト -

プレイヤーメモ番外編 - メイキング・オブ・鹿原こるり

はじめに

 キャラクターの登録設定とは、マスターに自分のキャラクターの魅力をプレゼンテーションするための案内書であり、自分がこのゲームでどのように活躍するかという戦術を記した作戦書でもあります。キャラクター登録設定の出来不出来は、そのプレイヤーにとってゲームを楽しめるか否かを大きく左右する重要な要素です。
 キャラクターが魅力的であれば序盤で有利に立ち回ることができ、序盤で有利に立ち回ることができればゲームを継続する意欲も湧きます。例えアクションの失敗で苦境に立たされても、キャラクターの活躍を見たいから頑張ろうという気になりますし、不利な状況から挽回するための作戦を盛り込んで作ったキャラクターは、逆境を跳ね返す支えとなります。自分のキャラクターが魅力的で、気持ちの良い活躍を続けているうちに、他のプレイヤーが演じている周囲の仲間たちや敵役も、より魅力的なキャラクターに見えてきます。他のプレイヤーも同様に思ってくれるかも知れません。

 今回の「英雄×勇者×救世主」でプレイした「鹿原こるり」は、少なくとも自分では最後まで楽しめる、自分にとっては魅力的なキャラクターであり続けることができました。これがマスターや他のプレイヤーの皆様に助けられた結果であることは疑いようもありませんが、とりあえずうまくいった例として、キャラクター作成時に注意した点などを書き残しておきたいと思います。
 もし何らかの参考になれば幸いです。

まずは、自分にとって魅力的なキャラクターであるために

 皆様にとって、新作のPBMに参加するかどうかを決める重要な要素は何でしょうか? 私(プレイヤー)の場合は、ゲームの設定を見て、やってみたいと思えるキャラクターを思いつくか否かという点です。
 以前から一度やってみたかったのでした、PBMゲーム内で「PBMが趣味」という設定のキャラクターを演じることは。……AUQの設定が発表された当時、参加するかどうかをあれこれ検討しているうち、ふと、
「アニメや漫画にも、コンピューターRPG好きの主人公が勇者としてファンタジー世界に召還される話はよくあるけれど、もし、その勇者がPBMゲーマーだったらどうか?」
 ……と天の声が閃きまして、これは経験上意外とありそうでいて見かけなかった、恐らく思いついても実行に移す人がそれほど多くないタイプのキャラクターのように思えました。もし同案多数でキャラが被った場合でも、それはそれで異世界上でPBMを開催するなどのネタになりそうです。よし、このゲームでは自分のやってみたいと思えるキャラクターがプレイできる、参加決定! となったわけです。

 とは言え、現在のような形にまとまるまでは色々と紆余曲折があって、最初に思いつくままに書いたメモの内容は、以下のようなものでした。

 →別紙参照: 鹿原こるり初期案(1)

次に、その魅力がリアクション上で表現できるものであるために

 うーん……メモを書き溜めている最中は「これは面白く魅力的なキャラクターになりそうだ!」という手応えを感じていたのですが、いざ冷静になって読み返すと、キャラクターの欠点の面が予想以上に生々しくなってしまって、自虐的で嫌味っぽいキャラクターになってしまいました。
 第一、私自身が軍師キャラをうまく演じる自信があまりないのが問題です。このように、「欠点もあるけれど、有能で強いから魅力」系のキャラクターは、作戦立案アクションが連続してコケてしまうと、欠点ばかりの不愉快キャラクターに成り下がりがちです。特にこのキャラクターでそういう事態に陥った場合、PBMという娯楽をネガティブに捉えたキャラクターになってしまって最悪です。もっとPBMゲーマーであることをポジティブに捉えた設定を考えなければなりません。
 そんな風に悩んでいた矢先に、Q&Aで「アースの書き文字はエンブリオンの人間には読めない」という回答を頂いてしまいまして、結局この「引き篭もり軍師」という路線は没となってしまいました。

 ではどのような路線にすればいいか。しばらく考えて、上記初期設定にあったアイテムの設定「預言者が伝説の書物を記すのに使った、いわくのある筆記具(が武器に変化する)」を変更することにして、これを予言書を書くための筆記具であったという設定を本来の用途にすればいいのだと思いつきました。これならば、常に書き物をしているPBMプレイヤーとしてのイメージを保ったまま方向転換することができそうです。
 しかし、アイテムを非ダメージ型にすることにはちょっと抵抗がありました。護身用に使えるようなアイテムを携帯していれば、多少の危険を顧みずに強気な行動(潜入調査など)を取れますし、アクションのネタが思いつかない時には手頃な戦闘に参加すればいいので、足手まといになりにくいのです。それが完全な非戦闘型タイプとなると……何もアクションが思いつかない場合の対策も考慮しなければなりません。そうして出来上がったのが次の案です。

 →別紙参照: 鹿原こるり初期案(2)

 アイテムの能力、特にペナルティ面はこの後も推敲を重ねました。上記の初期案(2)のものは、まだうまくまとまっていない段階です。自己犠牲系のペナルティは、そのキャラクターに感情移入してリアクションを読んでいる人(=プレイヤー本人)以外に面白さを伝えることが難しく、(例えば第0回のヒューさんのような)主役級の活躍やひと捻りがないと空回りしがちに思います。
 結果的に、このアイテムの設定は最終的に「最悪の未来しか見通せない」というものに落ち着きました。エリアBの初期情報があちこちで話題を呼んでいたことからヒントを得たのですが(もっとも、この段階ではエリアBに参加するかどうかは未定でした)、最悪のリアクション(没、失敗、行殺)しかもらえない下手の横好きPBMプレイヤー、というイメージを重ねる事にもなり、いい案に思えました。

願わくば、他のプレイヤーから見ても魅力的なキャラクターであるために

 さて、いざフォームから送信する前に冷静になってもう一度設定を読み返してみると、どうもまだいまいち……欠点の面が生々しく、嫌味さが抜けきれていないような印象を受けました。設定も焦点を絞り切れていません。
 ここで基本に立ち返って、そもそもこのキャラクターの何をリアクションで表現したいのかを考え直すことにします。自分がこのキャラクターのどんな面を魅力だと思っていて、周囲にどのようなキャラクターとして受け取って欲しいのか。……いろいろ自問自答してみた結果、このキャラクターでやりたいのは、
「PBMゲーマーの美少女が、異世界を救う勇者として魅力的に活躍する」
 ……ということであり、そのためにはもう少しポジティブな面を強調して、協調性があってコミュニケーションを取りやすい、他人から好かれやすそうな性格にした方が、このキャラクターでやりたかったことがやりやすいのではないかという結論になりました。
 そこで、「性格」「現在の状況」の設定に修正を加えることにします。初期案では比較的ネガティブに扱われていた自己陶酔の激しさを、「感情移入が激しいゆえに、PBMをするのも人助けをするのも常に大真面目な、ピュアな心の持ち主」として肯定的に扱うことにし、「リアクションの文章で感動してポロポロ泣いてしまうくらい純粋な性格」「幾らかの葛藤の末に勇者としての使命を受け入れ、初期段階の時点で既にエンブリオンの人たちに協力的である」という設定を入れ、そのために邪魔な設定(「コスプレ嫌い」など)を削り、キャラクター登録のための決定稿が完成しました。
 明るく前向きな性格の方が、プレイしていて楽しいでしょうし、中途半端に不愉快なキャラクターにして「特定のPBMプレイヤーを揶揄している」と受け取られては不本意です。まあ、ネガティブなキャラクターに自己陶酔してプレイするのもすごく楽しいのですが、今回は前向き路線でいくことにしました。

 →最終的な登録情報は、このサイトのキャラクター紹介ページをご覧下さい

 キャラクターの名前命名に関してもひと悶着あったのですが、これは機会があればまた別の時に。

覚え書き……どんな状況でも自分に陥っても魅力的なキャラクターであるために

最後に、そのキャラクターがいつまでも魅力的なキャラクターであるために

 キャラクターが完成すれば、あとは最初のアクションを提出して、結果を待つばかりです。鹿原こるりの場合、第0回での描写が、最初に抱いていたイメージと多少違っていたのですが(思っていたよりもほえほえした性格の描写でした)、これはこれで可愛いのでアリかなあと思ったのでこの路線でいくことにしました。
 また、最初のリアクションが届いた段階で、ラフスケッチだったイラストを、リアクションのイメージを盛り込んで軌道修正しつつ清書しています。色を塗り始めて初めて気がついた「茶髪を染めた黒髪」の表現の難しさに悩んだりしつつも、どうにか完成。これで最終的な鹿原こるりのイメージが完成となったわけです。

 私が思うに、「良いアクション」というのは、自分のPCのことをますます好きになれるようなアクションのことかなと思っています。好きなキャラクターが活躍して嬉しい、アクションには失敗したけれど困難な挑戦をしたこと自体が愛おしい、登場して喋っているだけで楽しい……。
 では、周囲を不快にさせて自分だけが楽しいアクションは良いアクションなのでしょうか? 他人に迷惑をかけたという事実を後ろめたく思ったり、言い争いをして不愉快な気分になったりするのなら、良いアクションとは言えないことでしょう。トラブルを避けてみんなと仲良くすることも、やっぱり自分のPCを好きになるためには重要なことだと考えます。

 プレイを進めていると、キャラクター作成時に思っていたようにはいかず、想定外の事態や、思わぬ計画ミスが出てくることもあります。そんな時は柔軟に方向転換していいと思います。何がそのキャラクターを楽しく演じるために必要なことなのかを考えてあげて下さい。時には最初の設定を変更することも、キャラクターを捻じ曲げることだなんて考えずに、「他のキャラクターとの触れ合いの結果キャラクターが成長した」「プレイヤーも知らなかったキャラクターの一面が見えてきた」「キャラクターが自分自身で現在の状況を熟考した結果、少し考えを改めた」などと考えてみてはどうでしょうか……なんて思います。

 とまあ色々書いてきましたが、プレイスタイルは人によって千差万別です。実際にAUQのエリアBでは、今まで「こんな設定のキャラクターがうまく動くはずがない」と思っていたような設定のキャラクターが、巧みなアクションで悠々と活躍する例を何度も見せてもらいました。ちょっと変わったことをするためには、定石を外して他人と違うことをやってみることも必要ですし、楽なプレイスタイルに背を向けて茨の道を行くというのもまた一つの道です。
 そんな様々なプレイスタイルがあるからこそ、「私はこのようなプレイスタイルでゲームしたい」ということを表明する最初の場であるキャラクター登録設定というのは、やはり重要なわけで、熱が入るのも当然というものです。

 とりとめのない文章となってしまいましたが、長い文章を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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